風俗営業の共同経営の落とし穴 ― 名義貸しトラブルを防ぐための契約と許可管理
飲食店やスナック、バーなどを「友人や家族と共同で経営したい」という相談は少なくありません。
しかし、安易な名義貸しや不明確な共同経営契約は、営業許可の取消・罰則・トラブルに発展するおそれがあります。
本記事では、行政書士の立場から「名義貸し」と「共同経営」の違い、そしてトラブルを防ぐための契約・許可管理のポイントを解説します。
1. 共同経営と名義貸しの違いを正しく理解しよう
1-1 名義貸しとは何か
「名義貸し」とは、営業許可を持っていない人が、他人の名義を借りて営業することを指します。
例えば、Aさんが許可を取り、実際の経営・運営をBさんが行うようなケースです。
この行為は、風営法・食品衛生法ともに違法となり、許可取消や罰則の対象となります。
1-2 共同経営と認められる条件
一方、「共同経営」は複数の人が共同で責任と利益を分担して経営を行う形態です。
重要なのは、全員が経営判断に関与しているかどうかです。
単に「出資だけしている」「名義だけ貸している」場合は、共同経営とはみなされません。
2. 名義貸しが発覚したときのリスク
2-1 許可の取消・罰則
名義貸しが発覚すると、次のような行政処分・刑事罰を受ける可能性があります。
- 飲食店営業許可の取消・停止
- 風俗営業許可の取消・再申請不可(一定期間)
- 名義人・実質経営者の双方に罰金・懲役刑の可能性
一度許可を失うと、再取得までに数年を要する場合もあり、事業継続が困難になります。
2-2 実際に起こりがちなトラブル事例
- 「出資したのに利益を分けてもらえない」
- 「許可名義人が突然抜けて営業できなくなった」
- 「責任の所在が不明で、行政からの指導に対応できない」
名義貸しは、経営上の信頼関係を壊す火種にもなります。
3. トラブルを防ぐための契約の作り方
3-1 出資・経営・利益配分を明確に
共同経営を行う場合は、以下の3点を明確にして契約書に盛り込むことが重要です。
- 出資額と持分の割合
- 経営方針の決定権・責任分担
- 利益・損失の分配方法
これらを明確にしておかないと、のちに「誰が実際の経営者なのか」が曖昧になり、名義貸しと判断されるリスクが高まります。
3-2 契約書に入れておきたい条項例
- 経営に関する決定は双方の合意によるものとする
- 出資金の返還条件・時期を明示する
- 許可の名義人を変更する際の取り決めを明記する
契約書は「形式」だけでなく、「実態」と整合していることが重要です。
4. 許可申請時に注意すべきポイント
4-1 申請名義人と実際の経営者の一致
許可を申請する際には、実際に店舗を運営する人物が申請者であることが原則です。
名義人と実際の経営者が異なる場合、調査や聴取で発覚することがあります。
行政庁は、申請書や事業計画書だけでなく、資金の流れ・契約書・店舗の賃貸契約なども確認します。
4-2 風営法・飲食店営業許可でのチェック項目
- 実際の経営者が誰か(面談で確認)
- 開業資金の出資者の確認
- 店舗名義(賃貸契約書)と申請名義の一致
このあたりを曖昧にしたまま申請すると、「名義貸し」と疑われ、許可が下りないケースもあります。
5. 行政書士ができるサポート
5-1 契約書作成・許可申請サポート
行政書士は、名義貸しを避けるための共同経営契約書の作成や、
実態に即した許可申請書の作成・提出代行を行っています。
事前相談で「名義貸しリスクがないか」を確認しておくことが、後々のトラブル防止につながります。
5-2 もりやま行政書士事務所の支援体制
福岡県筑豊エリアを中心に、もりやま行政書士事務所では、
飲食店・スナック・風営店などの開業支援を多数行っております。
名義貸しのリスク診断から、契約書・許可申請・営業開始まで、
一貫したサポート体制で安心の開業を支援します。
🔹まとめ
・ 行政書士のサポートでトラブルを未然に防げる
・ 名義貸しは「実際の経営者と許可名義人が異なる」状態を指す
・ 許可取消・罰則など重いリスクがある
・ 共同経営契約書で責任と利益配分を明確にすることが重要
・ 許可申請では名義と実態の一致が求められる

