【弁護士法違反で行政書士が逮捕!?】福岡の行政書士逮捕から考える業務範囲について
福岡で行政書士が弁護士法違反(非弁活動)で逮捕されたというニュースが報じられました。
行政書士は官公署提出書類の作成や許認可申請の代理などを行う専門家ですが、業務範囲を誤解してしまうと、弁護士の独占業務に当たる行為をしてしまい、逮捕や重大な法的リスクを招く可能性があります。
本記事では、今回のニュースをきっかけに、行政書士の業務範囲・できること・できないことをわかりやすく整理し、依頼者・事業者双方が安心安全に手続きを進めるためのポイントを解説します。
1 行政書士の基本的な業務とは
1-1 行政書士法で定められた業務範囲
行政書士は、国家資格として行政書士法によって業務範囲が定められています。
具体的には、官公署に提出する書類の作成や、その提出手続きの代理、各種許認可申請の支援などが中心です。
例えば、建設業・飲食店・風営法・在留資格などの申請書類作成と提出、各種届出書類の代理提出が代表例です。
この範囲は法律で明確に規定されており、法律の専門的判断が必要な部分は除外されています。
1-2 官公署提出書類・手続き代理の具体例
行政書士が日常的に対応しているのは次のような業務です:
- 各種許認可申請(飲食店・建設業・風営法など)
- 委任状を用いた官公署への書類提出
- 外国人在留資格・ビザ申請
- 遺言書・相続関連書類作成の支援
これらは争いごとになっていない手続きを前提にしており、依頼者が不利益なく進められるようにバックアップする役割です。
2 非弁行為として問題になったケース
2-1 福岡の行政書士逮捕事件の概要
2026年1月、福岡市で行政書士が弁護士法違反の疑いで逮捕されました。
この事件では、交通事故の自賠責保険に関する異議申し立てを被害者の依頼で行い、報酬を受け取っていたことが弁護士法違反の疑いで問題視されています。
被害者請求の範囲内で書類作成する程度であれば行政書士の範囲内ですが、異議申し立てで保険会社と交渉する行為は弁護士の専権業務とされる可能性があるとして立件されました。
2-2 なぜ弁護士法違反になるのか
弁護士法では、弁護士資格を持たない者が報酬を得て当事者の法的利益に関わる代理・交渉行為を行うことを禁止しています。
たとえ行政書士資格を持っていても、報酬を受け取りつつ**争いごとの交渉や法律判断を含む業務を行うと「非弁活動」とみなされ、弁護士法違反と判断される可能性があります。
3 行政書士と弁護士の明確な違い
3-1 取り扱える書類・手続きの差
行政書士は官公署提出書類や行政手続きを得意としますが、紛争性がある法律事務や交渉は原則として取り扱えません。
一方で弁護士は、紛争解決・訴訟対応・交渉代理など、法律全般に関する代理権を持ちます。
この違いを正しく理解せずに業務を引き受けると、今回のような法令違反につながるリスクがあります。
3-2 紛争性・交渉は弁護士の独占業務
たとえば損害賠償請求や保険会社との金額交渉など、当事者間の権利・義務に争いがある手続きは弁護士の業務とされます。
行政書士はあくまで「書類の作成・提出等」に限定されており、争いのある場面で代理人として動くことは弁護士法の範囲内の判断が必要です。
4 行政書士が対応できる法律関連業務
4-1 行政手続きにおける実務支援
行政書士の強みは、複雑な官公署手続きを書類準備から提出まで支援できることです。
許認可申請や各種届出は制度が頻繁に変わり、書類不備・手続き漏れがあると大きな損失につながることもあります。
こうした 適法で争いのない手続き支援は行政書士の本来の役割です。
4-2 争いがない場面での書類作成
たとえば、在留資格申請や会社設立、成年後見申立書類作成など、争いが入り込まない書類作成・申請手続きは行政書士の得意分野です。
このような手続きでは、依頼者の負担を軽くし、役所とのやり取りも代行できます。
5 依頼者が安心して頼むためのポイント
5-1 業務範囲の確認方法
依頼する際には、次の点を確認しましょう:
- この手続きは争いがあるか?
- 交渉や代理の必要性があるか?
- 弁護士の資格が必要な案件か?
業務範囲を見極めることで、不適切な業務依頼を避けられます。
5-2 早めに専門家に相談するメリット
不安がある案件ほど、早めの相談がトラブル回避につながります。
法的にグレーと思われる場合、行政書士と弁護士を適切に使い分けることで、手続きのスムーズ化と法令遵守が実現します。
まとめ
今回の福岡の事件は、行政書士の業務範囲と法令の境界を改めて考えるきっかけです。
行政書士は法令に明確な範囲がある国家資格であり、その範囲内でこそ依頼者にとって安心安全なサポートが可能です。
どんな手続きが自身に必要なのか分からない場合は、行政書士に相談しながら進めることが最も安全な選択と言えるでしょう。

