【遺言書が2通見つかった!優先されるのはどっち?】知らないと危険な相続ルール
相続の場面では、遺言書が複数見つかるケースが意外と多くあります。
古い遺言書と新しい遺言書が両方残されていたり、手書きと公正証書遺言が混在していたりすると、どれが有効なのか判断に困ってしまいます。
結論から言うと、遺言書には優先順位があり、状況によって無効になる遺言書もあります。
この記事では、
- どの遺言書が有効になるのか
- 無効になる遺言とはどんなものか
- 遺言書が複数あるときの手続きの流れ
- トラブルを避けるための事前対策
について行政書士の視点で解説します。
相続トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ最後までお読みください。
1|遺言書が複数見つかるのは珍しくない
1-1 よくあるケース例
実務では、次のようなパターンが多く見られます。
- 10年前の自筆遺言と、最近の公正証書遺言がある
- 公正証書遺言のあとに手書きの遺言書が追加されている
- 内容が違う遺言が複数コピー保管されている
特に、公正証書遺言を作った後に
「気持ちが変わったから…」
と手書きで遺言を書き直すケースは非常に多いです。
1-2 遺言書が増える理由
- 家族との関係が変化した
- 財産構成が変わった
- 思いが変わった
など、本人の状況が変わると遺言書を作り直すことがあります。
2|複数の遺言書がある場合の「優先順位」
2-1 最も強いのは「最新の意思」
民法では、遺言者の最終意思がもっとも優先されます。
そのため、複数遺言が存在する場合は、
もっとも新しいものが原則有効です。
2-2 日付が最新の遺言が有効
例:
- 2017年:自筆証書遺言
- 2022年:公正証書遺言
- 2024年:自筆遺言(訂正含む)
➡ 2024年の遺言が有効となる可能性が高いです。
日付が書かれていない自筆証書遺言は無効扱いになりやすいので注意が必要です。
3|無効になる遺言書の特徴
3-1 法律上の形式を満たしていない遺言
- 日付がない
- 本人の署名がない
- 押印がない(自筆証書遺言の場合)
- 音声・動画のみ(これは無効)
などは形式不備で無効になります。
3-2 内容が矛盾している場合
「長男に土地を渡す」と書いていたのに
後日の遺言で「土地は次男へ」と書いた場合、後の遺言が優先されます。
遺言内容が相反する部分は最新のものが有効扱いです。
4|複数遺言書がある場合の手続き
4-1 遺言内容の照合・確認
公正証書遺言がある場合は、
法務局・公証役場で原本確認が可能です。
自筆遺言の場合、封印されているものは勝手に開封してはいけません。
4-2 検認手続き
家庭裁判所で検認手続きが必要な場合があります。
※公正証書遺言には検認は不要です。
5|トラブルを防ぐための予防策
5-1 遺言書保管制度を活用する
2020年以降の制度で、
法務局で遺言書を預けられる仕組みができました。
メリット:
- 紛失リスクがない
- 未開封のまま保管
- 検認手続きが不要
5-2 専門家に事前チェックを依頼する
遺言は正しく作れば争いを防ぐ武器になりますが、
形式ミスや曖昧な表現があると、争いの火種にもなります。
まとめ
遺言書が複数見つかった場合、
最新の日付の遺言書が原則有効ですが、形式や内容に不備があると無効になることがあります。
- 遺言が複数ある
- 内容が違っている
- 保管方法が不安
- これから遺言を作りたい
そんな場合は専門家に相談することで、スムーズに解決が進みます。
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