AIと行政書士業務 ― これからの許認可申請はどう変わる?

近年、AI(人工知能)の技術が急速に発展し、行政手続きの分野にもその波が押し寄せています。書類作成や情報収集といった業務にAIが活用されることで、申請のスピードや正確性が向上する一方で、「行政書士の仕事がなくなるのでは?」という不安の声も聞かれます。
この記事では、AIが行政書士業務にどのような影響を与えるのか、そしてこれからの許認可申請がどう変わっていくのかを、現場の視点から解説します。


1.AIがすでに行政手続きに導入されている分野

(1)自治体の申請支援システムのAI化
近年、国や自治体では「書かない窓口」や「自動入力補助システム」が導入されています。
たとえば、法人設立や補助金申請のオンラインフォームでは、入力内容に応じて必要な添付書類を自動判定する機能が増えています。
これにより、申請者や行政職員の負担は軽減されつつあります。

(2)AIによる文書チェック・エラーチェック
AIが文書の形式不備や入力ミスを検出するシステムも広がっています。
これまで人の目で行っていた確認作業をAIが代替することで、手続きの精度が上がり、審査期間の短縮にもつながっています。

(3)ChatGPTなど生成AIによる書類作成の補助
行政書士の間でも、生成AIを使って契約書や申請書の文案を作るケースが増えています。
ただし、AIが出力した内容には法的誤りや実務との乖離がある場合もあり、最終的な責任は専門家の判断に委ねられています。


2.AIが変える許認可申請のこれから

(1)「書類を作る」から「リスクを管理する」へ
AIによって定型業務が効率化される一方で、行政書士の役割は「書類を作る人」から「リスクを管理し、最適な手続きを提案する専門家」へと変化しています。
たとえば、建設業許可や産廃業許可の申請では、AIが入力補助を行う一方で、事業計画や人員体制の判断には依然として専門知識が求められます。

(2)AIが法改正や申請要件を自動分析する時代へ
将来的には、AIが国の法令データベースを解析し、最新の法改正や条例変更に即した申請書式を自動提案する仕組みも登場すると予想されます。
これにより、書類ミスや古い書式による再提出が大幅に減少するでしょう。

(3)オンライン申請の完全自動化も視野に
行政のデジタル化が進めば、AIが申請から審査までを一貫してサポートする時代が来るかもしれません。
ただし、個別の実態確認や倫理的判断が必要な場面では、人間による最終判断が不可欠です。


3.AI時代に求められる行政書士の新しい価値

(1)「AIができない部分」を担う
AIは過去のデータをもとに判断しますが、「個別事情」や「人間関係の調整」など、現場の温度感を理解することはできません。
行政書士は依頼者の想いや事業背景を踏まえて、最適な手続きを選択するという人間ならではの判断力を発揮することが求められます。

(2)AIを活用できる専門家になる
AIを避けるのではなく、うまく使いこなすことが今後の鍵です。
たとえば、AIを使って法令調査や書類のたたき台を作成し、行政書士が法的精査を行うことで、より効率的で精度の高いサービスを提供できます。

(3)中小事業者の「デジタルサポート役」へ
特に筑豊のような地方では、デジタル化に不慣れな中小事業者が多く存在します。
行政書士がAIやオンライン申請の導入支援を行うことで、地域経済のデジタル化を支える役割も期待されています。


4.まとめ ― 「AIに奪われる」ではなく「AIと進化する」

AIは行政書士の仕事を奪うのではなく、業務を効率化し、より高度なサポートを可能にするツールです。
今後は、AIを前提とした新しい行政手続きの形が定着していくでしょう。
もりやま行政書士事務所では、AIやデジタル化の流れを踏まえ、地域の中小事業者や個人の方に寄り添ったサポートを行っています。

筑豊エリア(飯塚市・田川市・直方市など)で許認可申請・法人設立・補助金申請などをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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