【生前贈与と相続対策】節税とトラブル回避のバランスを取る方法を行政書士が解説

筑豊エリア(飯塚市・直方市・田川市など)では、近年「生前贈与」や「相続対策」に関するご相談が増えています。
「相続税を少しでも抑えたい」「子どもたちがもめないように準備したい」――こうした想いで生前贈与を検討される方が多い一方で、贈与税の負担や手続き上のミスによるトラブルも少なくありません。

本記事では、行政書士として多くの相続・贈与案件に関わってきた経験をもとに、節税とトラブル回避のバランスを取るためのポイントをわかりやすく解説します。


1 生前贈与とは

(1) 生前贈与の基本的な仕組み

生前贈与とは、生きているうちに財産を他の人に譲ることをいいます。
通常、贈与を受けた人(受贈者)に対して贈与税が課されます。
ただし、毎年110万円までは「基礎控除」により非課税となるため、これを活用して少しずつ贈与する「暦年贈与」を行う方も多いです。

(2) 生前贈与が注目される理由

  • 相続税の課税対象となる財産をあらかじめ減らせる
  • 子や孫への資産承継を早期に実現できる
  • 相続時のトラブル(争続)を防止できる

特に筑豊エリアでは、土地・建物の相続をきっかけに兄弟間での争いが起こるケースもあり、「早めに贈与で整理しておきたい」というご相談が増えています。


2 節税を目的とした生前贈与の注意点

(1) 「相続開始前3年以内の贈与」は相続財産に加算される

贈与した財産でも、亡くなる前3年以内に贈与した分は相続財産として扱われ、相続税の対象となります。
「贈与で税金を減らせると思っていたのに、結局課税された」という事例は少なくありません。
節税目的の場合は、長期的な計画性が重要です。

(2) 名義預金に注意

親が子ども名義の口座にお金を入れていても、実際に子が管理していない場合は「贈与」と認められません。
通帳や印鑑を親が持っている場合、税務署から名義預金と判断され、相続財産に含まれてしまうことがあります。

(3) 契約書を残すことが重要

贈与は「口約束」でも成立しますが、贈与契約書を残すことで証拠が明確になります。
特に金額が大きい場合や、不動産を贈与する場合には、必ず書面にしておくことをおすすめします。


3 生前贈与と相続のバランスを取る考え方

(1) 節税だけに偏らないことが大切

生前贈与を活用すれば相続税を減らせる可能性はありますが、無理な贈与はトラブルのもとです。
「兄には土地を」「妹には現金を」など、贈与内容に差があると、将来の遺産分割時に不公平感が生まれやすくなります。

節税よりも、家族間の納得感を重視することが、結果的に円満な相続につながります。

(2) 「相続時精算課税制度」の活用も検討

この制度を利用すると、最大2,500万円まで贈与税が非課税になります。
ただし、相続時にはその分が相続財産に加算されるため、「相続税の先払い」のような仕組みです。

筑豊エリアでも、不動産を子どもに早めに名義変更しておきたい方が利用するケースがあります。
制度の仕組みを理解して使うことが大切です。


4 よくあるトラブルと防止策

(1) 「兄弟間の不公平」問題

生前贈与をした場合、その分を相続時に「特別受益」として扱うことがあります。
つまり、「兄がすでに家をもらっているなら、その分を差し引いて相続分を計算する」という考え方です。

この点を曖昧にしておくと、相続時に不満や争いが起きやすいため、
贈与時に「これは特別受益に含める」「相続分に影響しない」といった方針を書面で明確にしておくことが重要です。

(2) 贈与の証拠がないケース

「口頭で渡しただけ」「通帳から現金を引き出して手渡した」などの場合、税務上は贈与と認められないことがあります。
贈与契約書を作成し、日付入りの記録を残すことでトラブル防止になります。


5 行政書士がサポートできること

(1) 贈与契約書・公正証書の作成

行政書士は、金銭贈与や不動産贈与などの際に必要となる贈与契約書の作成を行えます。
また、確実な法的効力を持たせたい場合には、公証役場での公正証書贈与契約の作成をサポートします。

(2) 相続全体を見据えたアドバイス

贈与は単発の手続きではなく、「相続の一部」として考えることが大切です。
行政書士は、遺言書の作成支援や、相続人調査・財産整理などを通じて、
家族全体のバランスを踏まえた最適な相続対策を提案できます。


6 まとめ ― 節税と家族の安心、両方を見据えた贈与を

生前贈与は、うまく活用すれば節税につながりますが、制度を誤解すると逆効果になることもあります。
最も大切なのは、「税金を減らすこと」よりも、家族が納得できる形で資産を引き継ぐことです。

筑豊エリア(飯塚・直方・田川など)で生前贈与や相続対策をお考えの方は、
地域に密着した「もりやま行政書士事務所」へお気軽にご相談ください。
将来のトラブルを防ぎながら、安心できる資産承継を一緒に考えていきましょう。

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