【相続の疑問を解決②】長男がすべて相続することは可能?

「昔から家は長男が継ぐもの」「親の面倒を見たのは長男だから全部相続してもいいのでは?」――このような相談は少なくありません。しかし、現在の相続制度では“長男だから”という理由だけで全財産を相続することは原則として認められていません。本記事では、長男がすべて相続することが可能なケース、必要な手続き、遺留分との関係、トラブルを防ぐ方法までをわかりやすく解説します。



1 長男がすべて相続できるのか?

1-1 法定相続分の基本ルール

日本の相続制度では、相続人の取り分は民法で定められた「法定相続分」が基本です。例えば、配偶者と子どもがいる場合、配偶者が2分の1、子ども全員で2分の1を分けます。

子どもが複数いる場合、長男・次男・長女といった区別はなく、原則として平等です。

1-2 「長男優先」は法律上あるのか

結論から言えば、「長男だから多く相続できる」という規定は現在の民法には存在しません。

かつては家督相続制度がありましたが、戦後の民法改正により廃止されました。現在は男女・出生順に関係なく平等が原則です。


2 長男が全財産を相続できるケース

2-1 遺言書がある場合

被相続人が有効な遺言書を残しており、「すべての財産を長男に相続させる」と明記されていれば、原則としてその内容が優先されます。

遺言書には、自筆証書遺言や公正証書遺言などの方式がありますが、形式不備があると無効になる可能性があるため注意が必要です。

2-2 遺産分割協議で全員が合意した場合

遺言書がない場合でも、相続人全員が合意すれば、長男がすべて相続することは可能です。

ただし、一人でも反対すれば成立しません。合意内容は遺産分割協議書として書面に残す必要があります。


3 注意すべき「遺留分」の問題

3-1 遺留分とは何か

遺言書があっても、他の相続人には最低限保障された取り分があります。これを「遺留分」といいます。

例えば、子どもや配偶者には法定相続分の2分の1が遺留分として認められます。

3-2 遺留分侵害額請求のリスク

仮に長男がすべて相続した場合でも、他の相続人が遺留分を侵害されたと感じれば、「遺留分侵害額請求」を行うことができます。

請求されれば、長男は金銭で支払う必要があります。そのため、不動産しかない場合などは資金準備が問題になります。


4 実際によくあるトラブル事例

4-1 口約束だけで進めた結果

「父が長男に全部やると言っていた」と主張しても、遺言書がなければ法的効力はありません。

結果として法定相続分で分割することになり、家族関係が悪化するケースは少なくありません。

4-2 不動産をめぐる対立

自宅を長男が相続する場合、他の兄弟に代償金を支払う必要が出てきます。

不動産は分割しにくいため、「評価額が高すぎる」「そんな金額では納得できない」といった対立が起きやすいのです。


5 円満に長男へ承継させる方法

5-1 生前対策の重要性

長男に家業や自宅を継がせたい場合は、生前対策が不可欠です。

・公正証書遺言を作成する
・他の相続人に事前説明をしておく
・生命保険を活用し代償金の原資を確保する

こうした準備があれば、トラブルの可能性は大きく下がります。

5-2 専門家に相談するメリット

相続は法律・税金・感情が絡み合う複雑な問題です。

専門家に相談すれば、

・遺言書の作成支援
・遺留分対策の提案
・家族間の調整サポート

など、総合的な対策が可能です。


まとめ

長男がすべて相続することは、不可能ではありません。しかし、それは「長男だから」ではなく、遺言書や相続人全員の合意があって初めて実現します。

さらに、遺留分の問題も考慮しなければなりません。準備不足のまま進めると、家族間の深刻な対立につながる可能性があります。

円満な相続を実現するためには、早めの生前対策と専門家への相談が何より重要です。

ご相談は無料です。お問い合わせはこちらから。