遺言書が見つかったとき・見つからないときの対応マニュアル
―― 行政書士が解説する手続きと注意点
相続が始まると、多くの方が最初に悩むのが
**「遺言書があるのか、ないのか」**という点です。
遺言書の有無は、相続の進め方・分け方・必要書類・争いの有無に大きく影響します。
本記事では、専門家である行政書士が、
- 遺言書が見つかった場合
- 遺言書が見つからない場合
それぞれの正しい対応手順をわかりやすく整理しました。
1. 遺言書が見つかった場合の手順
遺言書を見つけても、すぐに開封してはいけません。
📌(1)勝手に開封しない(刑罰の対象になる場合あり)
封印のある遺言書(自筆証書遺言)を勝手に開封すると、
**5万円以下の過料(行政罰)**になる可能性があります。
📍そのままの状態で保管してください。
📌(2)家庭裁判所で「検認」手続きが必要
主に以下の遺言書は検認が必要です:
| 種類 | 検認必要? |
|---|---|
| 自筆証書遺言 | 必要 |
| 公証役場で作った公正証書遺言 | 不要 |
| 法務局保管制度を利用した遺言書 | 必要なし(内容確認で開封可能) |
📌(3)遺言内容に従い相続手続きを進める
検認後、遺言の内容に従って:
- 銀行手続き
- 不動産名義変更(相続登記)
- 保険金請求
などを行います。
※ただし、遺留分侵害がある場合は、
相続人が「遺留分侵害額請求」を行う可能性があります。
2. 遺言書が見つからない場合の対応
遺言書がない場合、原則として相続人全員で遺産分割協議を行います。
📌(1)まずは本当に遺言書がないか確認する
探すべき場所:
- 仏壇・金庫
- 通帳や契約書保管場所
- 親族宅
- 法務局(遺言書保管制度検索)
法務局に預けられている場合、
相続人は照会することで確認できます。
📌(2)相続人を確定する
必要書類例👇
- 戸籍謄本(出生~死亡まで)
- 相続人の戸籍謄本
- 除籍・改製原戸籍
相続人が確定しないと協議が進みません。
📌(3)遺産内容を調べる
- 預金
- 不動産
- 負債(借金)
- 保険金
- 有価証券
- 財産評価書・課税明細
漏れがあると後日トラブルになります。
📌(4)遺産分割協議書を作成
相続人全員が合意した内容を文書化し、
全員が署名・押印します。
その後、名義変更などの実務へ進みます。
3. 遺言書の種類と効力の違い
| 種類 | 主な特徴 | 発見時の対応 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証役場作成・最も確実 | すぐ手続き可能(検認不要) |
| 自筆証書遺言 | 署名・日付・押印必須 | 家裁で検認手続きが必要 |
| 法務局保管遺言 | 新制度・安全保管 | 検認不要・法務局で開封可能 |
4. よくあるトラブル例と回避策
| よくあるトラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 遺言書の発見が遅れて手続きが進まない | 家族に保管場所を伝えていなかった | 法務局保管 + 家族へ記録 |
| 遺言が不完全で無効扱い | 日付なし・署名なし | 専門家による作成支援 |
| 相続人同士の揉め事が発生 | 分配内容が不公平 | 遺留分を考慮し作成 |
5. 行政書士がサポートできること
当事務所では、以下の手続きサポートが可能です👇
- 遺言書の確認・法務局照会
- 遺産分割協議書の作成
- 相続手続きのスケジュール管理
- 必要書類の取得代行
- 不動産名義変更サポート(司法書士と連携)
争いを未然に防ぎ、スムーズな相続手続きを支援します。
まとめ|遺言書の有無で相続の流れは大きく変わる
- 遺言書があった場合 → 内容に従い手続き
- 遺言書がない場合 → 相続人全員で協議
どちらの場合でも、
誤った対応や放置はトラブルの原因になります。
📌相続でお困りの方へ
当事務所では、福岡県内を中心に
- 遺言書の手続き確認
- 相続相談
- 遺産分割協議書作成
をサポートしています。

