ネット通販のキャンセル・返金トラブル ― 消費者契約法で守られるポイント
ネット通販の利用が日常化する一方で、「キャンセルできない」「返金されない」「誤って契約してしまった」などの相談が増えています。とくに高額商品の通販や、サブスク契約のトラブルは後を絶ちません。本記事では、実務経験のある行政書士の立場から、ネット通販でよくあるトラブル事例と、消費者契約法で守られるポイントをわかりやすく整理します。通販トラブルは早めの対応が重要です。福岡・筑豊エリアでお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
1. ネット通販で多いキャンセル・返金トラブル
1-1. キャンセルできないと言われたケース
ネット通販で最も多いのが、注文直後なのにキャンセルできないという相談です。
よくある例としては次のとおりです。
- 申し込み直後なのに「発送準備中」を理由にキャンセル不可
- 解約ページが見つからない、連絡先が書かれていない
- 仮予約のつもりが正式契約になっていた
事業者側には「返品特約」を明示する義務があります。表示が適切でない場合、消費者はキャンセルや返金を主張できる可能性があります。
1-2. 返金を拒否される典型パターン
返金トラブルで多いのは、次のようなケースです。
- 商品が届かないのに「返金不可」と言われる
- 不良品にもかかわらず「返品は受け付けない」と主張される
- 送料・手数料などを不当に差し引かれる
これらは、消費者契約法・特定商取引法の適用により、事業者の対応が無効となったり、返金が認められることもあります。
2. 消費者契約法で守られるポイント
2-1. 不実告知による取り消し
事業者が事実と異なる説明をして契約させた場合、消費者は契約を取り消す権利があります。
例:
- 「返品無料」と言われたのに実際は不可
- 「在庫わずか」と急かされたが実際は常時販売
不実告知があったと判断されれば、キャンセル・返金が可能になることがあります。
2-2. 断定的判断の提供による取り消し
事業者が根拠なく断定的な説明をし、それを信じて契約した場合も取り消し可能です。
例:
- 「必ず痩せます」「絶対にもうかります」など断言
- 科学的根拠のない健康食品や美容商品で多い
このような説明で契約した場合、消費者は契約の取り消しを主張できます。
3. 注意したい“通販の落とし穴”
3-1. サブスクの自動更新問題
サブスク契約で多いのは、次のトラブルです。
- 解約期限がわかりにくい
- 更新日がメールやサイトに埋もれて気づかない
- お試し期間が終わった直後に高額請求
自動更新の条件は必ず契約前に確認しましょう。
3-2. 「初回500円」商法のリスク
初回が安いかわりに、2回目以降が高額で最低○回購入が必要というケースが多くあります。
「定期購入契約」であることがわかりにくい場合、取り消しの対象になることがあります。
4. 事業者とのトラブルを避けるための対策
4-1. 契約前に必ず確認すべき3つの項目
- 返品・キャンセルの条件(返品特約の表示)
- 事業者の住所・連絡先・会社概要
- 定期購入か単品購入か(自動更新の有無)
公式サイトの「特商法に基づく表記」を必ず確認しましょう。
4-2. トラブル発生時の正しい対処ステップ
- 事業者にメール・チャットなど証拠が残る方法で連絡
- 契約内容(注文履歴・利用規約)を保存
- 内容証明郵便で返金や契約解除を請求
- 必要に応じて行政書士・消費生活センターへ相談
対応が早いほど、返金の可能性も高くなります。
5. 行政書士ができる支援と相談のタイミング
5-1. 書面作成・内容証明でできること
行政書士は、次のような支援が可能です。
- 返金請求や契約解除のための内容証明の作成
- 通販会社とのやり取りの整理
- 契約書や利用規約のチェック
書面で正式に通知することで、事業者の対応が変わるケースは多くあります。
5-2. 法律上の限界と専門家の使い分け
行政書士は「代理交渉」や「訴訟対応」はできません。
しかし、事前の文書作成や証拠整理を行うことで、トラブル解決までの道筋を早くできます。
【まとめ】ネット通販トラブルは“早い対応”が鍵
ネット通販のトラブルは、
- 証拠が残りにくい
- 事業者が遠方にある
- 類似業者が多く泣き寝入りしやすい
という特徴があります。
少しでも疑問を感じたら、早めに専門家へ相談することで、無駄な支出やストレスを防ぐことができます。
福岡・筑豊エリアで通販トラブルにお困りの方は、もりやま行政書士事務所までお気軽にご相談ください。


