名義貸しで風営法違反!? ― 共同経営・店舗引継ぎで気をつけたい5つのポイント

先日、新潟県で、風営許可を受けた名義人が他人に店舗経営をさせたとして、風営法違反(名義貸し)で逮捕された事件が報じられています。➡にいがた経済新聞
福岡・筑豊エリアでもスナック・バー・ラウンジの引継ぎや共同経営が増えるなか、名義貸しのリスクを知らずに営業開始してしまう危険性があります。本記事では風営店舗の経営者向けに、「名義貸しとは何か」「なぜ違反になるのか」「防ぐために契約・許可をどう管理すべきか」を、行政書士の視点から解説します。



1. 名義貸しとは何か、なぜ問題なのか

1-1 名義貸しの定義と法的根拠

名義貸しとは、営業許可を受けた名義人が、他人(実質経営者)に営業をさせる行為を指します。風営法第22条などにより、許可を与えた名義人が自ら営業を行う義務があり、第三者に実質的運営を任せる形は法令違反とされます。
新潟県の事例では、名義人が許可を取得していたにもかかわらず、別の者に実質運営させたとして逮捕されています。にいがた経済新聞

1-2 最近の摘発事例から見るリスク

上記の新潟県警の例では、32歳の許可名義人が店舗許可を取得しながら、41歳の別の者に営業を任せていた疑いで逮捕されました。にいがた経済新聞
このような事例は全国に波及しており、報道されていないだけで、福岡県・筑豊エリアでも風営法違反の行政処分・摘発が少なくありません。
「名義だけ借りて営業を任せる」行為=無許可営業と同等視される危険があります。


2. 名義貸しに該当しやすいケース

2-1 共同経営で「実質経営者」と名義人が異なる

共同出資・共同経営を行う場合でも、実際に店舗の運営を行っている者が名義人でないと名義貸しとみなされる可能性があります。
例えば、Aさんが許可を持ち、Bさんが実務運営・接客を担当、Cさんが資金出資という構成であれば、実務運営をBさんが行っていると経営主体の不一致が問題となります。

2-2 前オーナーからの店舗引継ぎで発生するトラブル

居抜き店舗を引き継ぐ際に、前オーナーの許可名義をそのまま使おうとするケースがあります。
しかし、営業内容・経営者・チャージ率・接待サポートなどが変化していれば、新規許可申請または名義変更届が必要です。
前オーナー名義をそのまま使うと、名義貸し疑義が発生しうるため注意が必要です。


3. 名義貸しを避けるための契約と体制整備

3-1 契約書に明記すべき項目(出資・責任・名義)

共同経営を進める際には、次の項目を契約書に明記しておきましょう:

  • 名義人と実質的な運営者が同じであること
  • 出資比率・利益分配・損失負担の明示
  • 名義人変更・運営者変更時の手続き条項
  • 接待行為の有無・営業形態の維持に関する取り決め

この契約書を作成し、実際の運営状況と齟齬がないよう管理することが、名義貸し回避の第一歩です。

3-2 実務で確認すべき証拠資料(会計・出資・労務)

  • 出資金の振込記録・預金口座
  • 給与支払・源泉徴収の記録・労働契約書
  • 店舗の運営指揮系統(誰が採用・教育・指示を出しているか)
    これらを整理・保存しておくことで、警察の立入検査や許可更新時の説明責任を果たせます。

4. 許可管理・変更届出のチェックポイント

4-1 風営許可・飲食店営業許可の名義変更要否

風営許可・深夜酒類提供飲食店営業届・飲食店営業許可などでは、名義人や経営実態に変更があった場合には届出や再申請が必要です。
変更せずに営業を継続すると、無許可営業や名義貸しとみなされるリスクがあります。

4-2 警察・保健所の立入検査でよく見られる書類不備

  • 許可証の名義と実際の経営者が異なる
  • 役員・従業員の名簿が不備
  • 営業内容説明と実務内容が食い違っている
    これらは立入調査で指摘される典型的なミスです。事前に行政書士でチェックしておくことが推奨されます。

5. 行政書士ができるサポートと開業者へのアドバイス

5-1 書類作成・契約チェック・許可申請支援

名義貸しリスクを回避するための共同経営契約書の作成、許可申請書類・届出書類の代行など、行政書士はワンストップでサポートできます。
トラブルになった事業者からの相談も多く、前段階での相談が最も効果的です。

5-2 福岡・筑豊エリアでの実務対応と相談窓口

もりやま行政書士事務所では、福岡県・北九州市・筑豊地域(飯塚市・直方市・田川市など)を中心に、風営許可・店舗引継ぎ・名義貸しリスクの対応実績があります。
地域ならではの許認可動向・警察対応を踏まえ、安心して店舗運営できる体制をご提供しています。


まとめ

名義貸しは、許可を持つ人と実質的に運営する人が一致しないというだけで、風営法違反とされる重大なリスクです。
福岡・筑豊エリアでスナック・バー・ラウンジの経営を考える皆さまは、前オーナーからの引継ぎや共同経営の際に、契約・運営体制・許可名義を今一度チェックしましょう。
疑問・不安があれば、もりやま行政書士事務所までお気軽にご相談ください。法令遵守と安心経営をサポートいたします。