SNS誹謗中傷と法的対応 ― 投稿削除や発信者情報開示の流れを元警察官の行政書士が解説
X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeなど、SNSでの誹謗中傷被害が全国的に増えています。匿名だからといって、他人の名誉を傷つける投稿は「名誉毀損」や「侮辱罪」にあたることがあります。
しかし、実際に被害を受けたとき、「どこに相談すればいいのか」「どうやって投稿を削除させるのか」「相手を特定できるのか」といった疑問を抱く方が多いのも事実です。
この記事では、行政書士の立場から、SNS誹謗中傷の削除・開示請求の流れと、被害を最小限に抑えるための実務的ポイントを解説します。
1.SNSでの誹謗中傷とは?法的に問題となる投稿
(1)名誉毀損と侮辱の違い
SNS上で「○○は詐欺だ」「最低の店」などと投稿する行為は、虚偽かどうかに関係なく「名誉毀損罪」や「侮辱罪」に該当する場合があります。
特に事業者にとっては、信用失墜による売上減少など経済的損害にも直結します。
(2)SNS事業者の責任範囲
X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeなどは、投稿者本人の責任を前提としており、運営側は原則「関与しない」スタンスを取っています。
ただし、法的手続きに基づく正式な請求(削除依頼・開示請求)があれば対応する仕組みが整っています。
2.投稿削除の方法 ― まずは「証拠保全」と「削除依頼」から
(1)削除依頼の前に証拠を残す
削除依頼を行う前に、投稿内容・日時・アカウント情報をスクリーンショットで保存することが重要です。
後の手続きで「何が書かれていたか」を証明できなければ、法的対応が難しくなります。
(2)SNS運営会社への削除申請
各SNSには公式の削除依頼フォームがあります。
たとえばXの場合、「法的違反・名誉毀損などの報告」ページから申請可能です。
運営側の判断で削除されることもありますが、対応が遅い場合や拒否された場合には、次のステップである法的請求へ進みます。
3.発信者情報開示請求 ― 投稿者を特定する流れ
(1)プロバイダ責任制限法に基づく開示請求
SNS運営会社やプロバイダに対して、投稿者のIPアドレスや契約者情報を開示してもらう手続きです。
令和4年の法改正により、裁判を経ずに一定の情報を開示請求できる制度も整備されました。
(2)行政書士ができる支援
行政書士は、削除依頼書や開示請求書の作成補助、証拠整理、内容証明郵便の作成支援など、被害者側の初動対応をスムーズに行うサポートが可能です。
また、弁護士と連携し、損害賠償請求までを見据えた体制を整えることも大切です。
4.被害を拡大させないための初動対応
(1)感情的な反応を避ける
誹謗中傷の投稿を見てしまうと、ついSNS上で反論したくなるものです。
しかし、感情的な反応はさらなる炎上を招くことが多く、証拠保全や削除交渉にも悪影響を及ぼします。
(2)専門家への早期相談がカギ
行政書士や弁護士に相談することで、被害の証拠整理・削除交渉・開示請求の流れを明確化できます。
特に、投稿が拡散する前の迅速な対応が被害の最小化に直結します。
5.まとめ ― SNSトラブルは「放置しない」ことが最大の防御
SNSの誹謗中傷は、誰にでも起こり得る問題です。
投稿を放置すると、検索結果に残ったり、業務への信頼を失うなど、長期的なダメージに発展します。
早期の証拠保全・削除依頼・専門家相談が何よりも大切です。
もりやま行政書士事務所では、SNSやネット上の誹謗中傷に関する削除依頼書・開示請求書の作成支援を行っています。
また、弁護士やIT事業者との連携により、福岡県・北九州市・筑豊エリアの事業者を中心に、安心して再スタートを切るための支援を行っています。
「こんな投稿が出てしまった」「店舗のGoogleクチコミが荒れている」など、お困りの方は一度ご相談ください。


